ぺろちゃんとの出会い

批判覚悟で書くのだが、人が犬を飼い始めるのはいつだって思いつきだ。

どんなにきれい事を言ったって、地球上のあらゆるものを利用して自己実現を図ろうとするのが「人間」という生き物だと私は思う。

私がぺろちゃんを飼い始めたのも、思いつき。

その思いつきが私の人生を大きく変えた。


時は2021年、世の中はコロナ禍の真っ只中。

在宅時間が増えたことで、癒しを求めてペットを飼う人が急増した。

そうは言っても私は子なし専業主婦。

不妊治療を諦め、バイトを始めるも人間関係で挫折。

コロナ禍で新たな仕事を探す気にもなれず、暇をもてあました結果、犬を飼うことを思いついたのである。

夫に相談すると、意外にもあっさり承諾してくれた。


ネットで検索すると、いろんな犬がヒットした。

最初はこの子もいいな、あの子もいいなと思っていたけど、1匹の犬の写真に「この子だ!」と思った。

子犬 ジャックラッセルテリア

りりしい眉毛につぶらな瞳、垂れた耳。

中学時代にビーグルの雑種を飼っていたことがあり、垂れた耳にその犬の面影を重ねていた。

夫も「この子がいいね」と共感。

大手ホームセンター併設のペットショップの子だった。


愛犬家のみなさんには「ちゃんと準備してから飼うべきだ」とか「ペットショップで買うなんて」とお叱りを受けても仕方ないと思うけど、犬を飼おうと思い立った人間の行動なんてこんなもんだ。

完璧な準備を目指せば何も始められないのは犬の飼育に限ったことではないし、そもそも飼育初心者が保護犬を飼うのもどうかと思う。

出会いがどうであれ、最期まで添い遂げる。

それが犬との、そして自分自身との約束だ。


翌朝お店に行くと、ぺろちゃんには「ハロウィンセール」と書かれた割引の値札が貼られていた。

ぺろちゃんは生後3ヶ月半、他のケージの子より一回り大きく見えた。

ケージから出してもらうと、耳を後ろにペタッと下げて、顔を舐めようと抱っこする腕をよじ登ってきた。

ずいぶん長いこと、寂しい思いをしてきたんだろう。

お店の人からは「ジャックちゃん」と呼ばれて、すっかり懐いていたけど、それなりにかわいがってもらったんだと思う。

契約をした時、お店の人もすごく嬉しそうだった。

……絶対ぺろちゃんを幸せにする。

そう心に誓い、ぺろちゃんとの暮らしが始まった。

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